メディカ出版専門誌に、コラム「知られざる寄生虫の世界 第6回」が掲載されました。今回は、マダイの口腔に雌雄ペアで棲みつく大型の寄生虫・タイノエのお話です。
タイノエは、大きいもので5cmほどのメスと3cmほどのオスがペアになって、宿主の上顎に逆さまにへばりつき、その体液を吸います。私の研究によれば、タイノエの寿命は最長で6年。宿主が0歳のころに寄生し、宿主とともに成長します。寄生によって宿主の顎の骨が変形したり、成長が鈍化したりしますが、殺すまでの害はありません。
古くからよく知られている寄生虫で、江戸時代の図譜『水族寫真 鯛部』には「鯛之福玉」という縁起物として紹介されています。
タイノエの生活史や宿主への病害性についての最新の知見を、7月末に出したこちらの論文に書きました。アクセスできる方はぜひ読んでみてください。
コメント